一般的な防犯カメラや監視カメラでは、カメラで撮影した映像をレコーダーと呼ばれる記録装置に記録します。
しかし、最近では新たな録画方法として、「クラウド録画」が注目されるようになりました。
今回は、「クラウド録画とは何か?」「どのようなメリットとデメリットがあるのか?」について解説します。
クラウド録画とは?
主に防犯対策として活用されている防犯カメラ。
どれも大きな違いはないと思ってしまうでしょうが、データを保存する方法がそれぞれ違います。
主な方法としては、次のようなものがあるのです。
ボックス型やバレット型のカメラの場合、撮影できる範囲はカメラを向けている方向に限定されます。
撮影範囲を広げるには、複数台のカメラを設置するか、ズーム機能や広角レンズなどを使い撮影範囲を設定する必要があるのです。
しかし、ドーム型の「360度カメラ(全方位カメラ)」は、ボックス型やバレット型と見える範囲が大きく異なります。
360度全方位を撮影できるので、撮影範囲は当然ボックス型やバレット型よりも広くなるのです。
また、360度カメラには、「全天球」と「半天球」があります。
全天球は、2枚のレンズが搭載されており左右だけでなく前後(上下)360度の撮影が可能です。
半天球は、通常1枚のレンズが搭載されており水平方向(左右)360度の撮影ができます。
ちなみに、全天球はVR体験用の映像などに利用されることが多いです。
反対に、半天球は店舗・オフィス・工場等の監視に使われることが多くなっています。
同じ、360度カメラでも違いがあることに気づくでしょう。

クラウド録画のメリット|遠隔管理・コスト削減に最適!
簡単に言えば、データをインターネット上の保管場所に保存するというのがクラウド録画です。
では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
次のようなメリットがあります。
まず、大きなメリットとしては録画機器が不要でコストを抑えられることです。
通常は、カメラとは別にデータを記録するための録画機器を設置します。
ですが、クラウドはインターネット上に保存するので、録画機器が不要です。
また、インターネット環境があれば離れた場所からでも映像の確認ができますし、パソコンだけでなくスマホやタブレット端末からも閲覧できます。
それから、クラウドサービスでは、映像の解析ができる機能や不審者の侵入などを検知し、通知する機能などが備わっているものが多くなっているため迅速な対応が行えるようになるでしょう。
過去に参考になる記事を書いていますので、よろしければ併せてご一読ください。
クラウド録画のデメリット|ネット環境に依存するリスクとは?
さきほどは、メリットについて紹介しましたが、デメリットについても見ていきましょう。
最も大きなデメリットは、「インターネット環境」に大きく影響されてしまうことです。
回線速度は利用しているサービスによって違います。
速度が遅くなれば映像を表示するのにも時間がかかりますし、映像が飛んでしまうこともあります。
また、回線が途切れてしまえば使えなくなるので、回線が途切れると録画されないというリスクが生まれてしまうのです。
メリットの中で、録画機器が不要なためコストを抑えられるといいましたが、クラウド録画を利用するにはサービスの利用料金がかかります。
それから、保存する期間によっても月額の利用料金が変わるのです。
7日間・14日間・30日間・60日間・90日間・180日間・365日間などがありますが、保存する期間が長くなるとその分費用も高くなります。
複数の店舗や工場などを管理している場合など、カメラの台数が多い場合などはコストがかさんでしまう場合があるのです。
HDDとクラウド録画の違いを比較!どちらを選ぶべき?

覚えておきたいのは、防犯カメラを効果的に活用するには、映像をしっかりと録画することが大切ということです。
そのため、24時間365日きちんと録画されていなければ防犯対策として機能しなくなってしまうでしょう。
解説してきたように、ハードディスクは長時間の録画などに効果的ですし、クラウドは録画機器が不要なのでコストを抑えられるという魅力があります。
ただし、クラウドの方はインターネットに接続されていなければ録画ができないという弱点もあるのです。
最近では、ネット接続が途切れそうになると自動的にSDカードへの保存に切り替わるようになっている機種も販売されています。
それぞれメリットとデメリットがありますので、コストだけでなく、安定性などにも注目して選ぶとよいでしょう。
クラウド録画のセキュリティリスク|データ流出・消失に要注意
利用者が増えているクラウドについてですが、安全なイメージが強いですが実は「データ消失」や「情報流出」も報告されています。
例えば、クラウドを利用していてクラウドだけにしかデータがなかった場合、障害が発生するとデータが消失してしまうリスクがあるのです。
その他にも、サイバー攻撃などで預けているデータが外部へ流出してしまう可能性があります。
さらに、ウイルスに感染した場合、不正アクセスの危険性もあるのです。
参照サイト
<クラウドサービス利用上の注意点>

クラウド録画に最適な環境とは?|導入前に確認すべきポイント
クラウド録画は、インターネット環境に大きく依存するため、導入する前に以下のポイントを確認しておくことが重要です。
- 安定したインターネット回線があるか
- クラウド録画は映像データをリアルタイムでアップロードするため、高速で安定したインターネット環境が求められます。
- 企業や店舗などで多数のカメラを設置する場合は、専用の回線を用意することをおすすめします。
- データ転送量の制限を確認
- クラウド録画では、常に映像をアップロードするため、大容量のデータ通信が発生します。
- インターネットプロバイダーの契約プランによっては、通信制限がかかる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
- バックアップ対策
- クラウド録画では、万が一のネットワーク障害に備えたバックアップが重要です。
- ネット接続が途切れた際に、一時的にSDカードやHDDへ録画できる「デュアル録画」機能を持ったカメラを選ぶと安心です。
クラウド録画の最新技術|AI・解析機能の活用で進化する防犯システム
クラウド録画のメリットの一つは、AI技術と組み合わせて解析機能を強化できることです。これにより、防犯カメラの役割が単なる「録画」から「予防・検知」へと進化しています。
- 不審者検知
- AIが人物の動きを解析し、怪しい挙動を自動で検知。
- 例えば、特定のエリアに長時間滞在している人物を特定し、アラートを発する。
- ナンバープレート認識
- 車両のナンバープレートを読み取り、過去の記録と照合。
- 駐車場管理や入退場の記録に活用できる。
- 顔認証システム
- 指定した人物の顔をデータベースと照合し、不審者が侵入した際に警告を発する。
このように、クラウド録画は「記録するだけ」ではなく、「データを分析してリスクを未然に防ぐ」技術として発展しています。
クラウド録画を導入すべき業種・用途とは?
クラウド録画は、すべての環境に適しているわけではなく、特定の業種や用途に最適です。導入を検討する際には、以下の業種での活用を参考にしてください。
クラウド録画が向いている業種
- 多店舗展開している企業・フランチャイズ(例:コンビニ、飲食店チェーン)
- 本部から各店舗の映像をリアルタイムで確認できる。
- レンタルスペースやコワーキングスペース
- 不特定多数の利用者が出入りする施設の管理に最適。
- 建設現場や工事現場
- 遠隔地の現場の安全管理や進捗確認が可能。
クラウド録画が向いていないケース
- インターネット環境が不安定な場所
- 山間部や通信インフラが整っていないエリアでは録画の安定性が欠ける可能性あり。
- 大規模なデータ保存が必要な場合
- 24時間録画で長期間保存する場合、クラウド録画のコストが高くなるため、HDD録画の方が適していることがある。
クラウド録画とプライバシー保護|注意すべきポイント
クラウド録画は、どこからでも映像を確認できる利便性がある一方で、プライバシー保護に関する注意点もあります。
- 録画範囲の適正化
- 住宅街やオフィス内では、プライバシーを侵害しないように録画範囲を調整する必要があります。
- 例えば、近隣の住宅や個人宅の敷地が映り込まないようにカメラの角度を設定。
- アクセス権限の管理
- クラウド録画では、インターネット経由で映像を閲覧できるため、権限管理が重要。
- 企業の場合、映像を閲覧できる人を制限し、社員全員がアクセスできないようにすることが望ましい。
- データの暗号化
- 外部からの不正アクセスを防ぐために、録画データは暗号化されたクラウドストレージに保存するのが理想。
まとめ|クラウド録画は目的と環境に応じた選択が必要
クラウド録画は、遠隔管理の利便性やコスト削減のメリットがありますが、インターネット環境に依存するリスクやセキュリティ対策の必要性もあります。
- 「離れた場所から映像を管理したい」ならクラウド録画
- 「安定した録画を優先したい」ならHDD録画
- 「両方のメリットを活かしたい」ならデュアル録画(クラウド+ローカル保存)
防犯カメラの設置や録画方法の選択に迷ったら、専門業者に相談するのがベストです。弊社では、お客様の環境やニーズに合わせた最適なプランをご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。
